多汗症は全身から汗の発汗がある
「全身性多汗症」と体の一部分から汗の発汗がある「局所性多汗症」があります。
「原発性局所多汗症診療ガイドライン」によると、顔、頭、手、足、腋に温度上昇、精神的負荷の有無にかかわらず、日常生活に支障をきたす程の大量の発汗を生じる状態を原発性局所多汗症と定義しています。
それから多汗症は生まれつき多汗症なのか、
それとも急に多汗症になったのか分類されます。
生まれつきの多汗症は「原発性多汗症」と呼ばれ、
思春期の間やその前に発症するといわれています。
参照元:日本皮膚科学会ガイドライン 原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版
原発性多汗症と続発性多汗症
幼少期の頃に、明らかに原因不明の大量の発汗が見られ、
その症状が継続的に続き、次の状況が2つ当てはまれば原発性多汗症と診断されます。
- 最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
- 体の左右どちらかに発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
- 家族に多汗症の人がいる
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
もう一つは、いつの時点でも発症する可能性のある「続発性多汗症」です。
原因は、甲状腺、糖尿病、腫瘍、更年期障害などの病気によって引き起こされます。
これらの多汗症は、病気から生じるものなので、
多汗症の症状を引き起こしている、病気を改善しなければなりません。
全身性多汗症とは
全身性多汗症とは体全身に大量の汗をかいてしまう症状です。
多汗症の中でも全体の1割といわれ、多汗症の症状の中でも少ない部類に入ります。
体全体に汗をかいてしまうため、治療が難しい多汗症です。
全身性多汗症の原因
この病気の原因は未だに解明されていない、難病とされています。
局所性多汗症と違い、一部分の治療ができないため、
確立した治療方法も少ないのが現状です。
全身性多汗症が疑われる病気
全身性多汗症はほかの病気によって引き起こされることもあります。
- 循環器疾患
- 甲状腺機能亢進症
- パーキンソン病
もともと、汗をあまりかかない人が急に汗かきになったときは、
多汗症ではなく、ほかの病気によって引き起こされている可能性もあります。
局所性多汗症について
局所性多汗症とは、体の一部分にだけ汗を大量にかいてしまう病気です。
現代の医療でも原因が特定されていない病気です。
一説によると、交感神経が何らかの理由により刺激されることにより多汗の原因になるといわれています。
その症状は、精神的苦痛を起こしてしまうほど、
患者の方は悩まされてしまいます。
局所性多汗症はどのような影響があるのか
難病情報センターの調べによると、
仕事はもちろん勉強やコミュニケーションにも悪影響を及ぼしてしまうほどです。
この局所多汗症が原因でうつ病を引き起こしてしまう例も多数確認されています。
多汗症と精神性発汗は違う
頭からの汗だけで悩んでいる方は、この「局所性多汗症」の可能性を考える必要があります。
多汗症の中でも、ある一部分に汗をかいてしまうという症状です。
その汗の量は日常生活に支障を来たすほどの量になります。
体温上昇とは無関係で汗が出てくるのも特徴で、体の機能の失調により引き起こされるとされています。
ストレスや緊張、不安などで起こる精神的な原因の汗は多汗症とは呼びません。
一部では、これらの状態で起こる発汗も多汗症と分類されていますが、多汗症はストレス、緊張、不安等で起こりうるものには分類されていません。
局所性多汗症の種類
局所性多汗症とは、体の一部に汗をかいてしまう多汗症のことです。
局所性多汗症の種類としては以下になります。
- 手の平に多くの汗をかく 手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)
- 足の裏から多くの汗をかく 足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)
- 脇の下に多く汗をかく 腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
- 頭から多く汗をかく 頭部多汗症(とうぶたかんしょう)
- 顔面から多く汗をかく 顔面多汗症(がんめんたかんしょう)
多汗症の中でも、手のひらに汗をかいてしまう方が多いといわれています。
局所性多汗症の原因
局所多汗症の原因は現在も明らかになっていません。
コリン作動性交感神経と呼ばれる交感神経が原因と言われていますが、解明までには至っていません。
また、近年、遺伝との関連も報告されています。
局所性多汗症の治療方法
局所性多汗症は全身の多汗症と異なり、
治療方法が確立されています。
すべての場所にすべての治療ができるかと言えば、
顔や頭などには塩化アルミニウム外用薬治療などはできませんが、手や足には効果的です。
治療名 |
治療費 |
効果 |
副作用 |
---|---|---|---|
塩化アルミニウム外用薬 | 安価(1000円程度) | 低い(継続的に行う必要がある) | かぶれなどの皮膚炎 |
イオントフォレーシス療法 | 安価(1回の治療で1000円程度、病院にもよる) | 低い(継続的に行う必要がある) | 特になし(ペースメーカーを使用の方は使かえない。) |
ボツリヌス毒素局注療法 | 高額 | 高い(1回の治療で3か月~6か月持続) | 内出血になる場合がある |
外科手術 | 高額 | 高い | 体に負担がかかる。違う場所からの汗の量が多くなる。 |
手掌多汗症とは
手掌多汗症とは手のひらに大量の汗をかいてしまう病気です。
ときには、滴るくらいの汗が出てしまうこともあるほどです。
手のひらに異常な汗をかいてしまうので、様々な弊害が起こってしまいます。
ノートや書類等の紙類がグシャグシャになってしまうことや
人と握手ができなくなってしまうこともあります。
極端な話では、電化製品例えば携帯やスマートフォン
などの使用も気を付けなければなりません。
手掌多汗症の段階
手掌多汗症の症状には軽い段階から重い段階まであります。
症状の程度 小
手のひらが湿っている程度で汗が滴るほどでもない。
症状の程度 中
手のひらに汗の滴が見られ、手を握ると汗が滴るくらい。
症状の程度 大
手のひらに大粒の水滴が見られ、手を握らなくても大量の汗で滴が滴り落ちるほど。
治療方法
手掌多汗症の治療方法はいくつかありますが、
個人によって治療効果に違いがあると報告されています。
即効性が強い治療方法なのか、
継続的に続ける必要がある治療方法なのか、
その部分でも治療方法に違いがあります。
主な治療方法
塩化アルミニウム外用方法・症状がある部分に塩化アルミニウムを塗布する。
イオントフォレーシス・症状がある部分(主に足の裏、手のひら)を水道水で浸し、微量な電気を流し治療する方法
足蹠多汗症とは
足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)とは、足の裏に大量の汗をかいてしまう病気です。
一般の人でも、夏の炎天下に靴を履けば足に汗をかくことはあります。
しかし、足蹠多汗の方は条件にかかわらず汗をかいてしまいます。
手や顔や頭の多汗と違い、タオルやハンカチで気軽に汗を拭けないので、
ほかの箇所よりもケアが難しくなってしまいます。
汗の量も常に湿っている状態から靴下から汗が絞れるくらいまで、個人差がありますが、常に湿っている状態は水虫などのリスクも増えてしまいます。
足蹠多汗症の悩み
- 靴を脱ぐ場所に行きづらい
- 足の臭いが気になる
- 裸足でサンダルが履けない
治療方法
- 塩化アルミニウム外用方法・症状がある部分に塩化アルミニウムを塗布する。
- イオントフォレーシス・症状がある部分(主に足の裏、手のひら)を水道水で浸し、微量な電気を流し治療する方法。
- ボトックス注射・症状がでる部分に注射することによって、汗腺の活動を抑制し汗を抑える治療法。
腋窩多汗症とは
腋窩多汗症(えきかたかんしょう)とは、わきの下に大量の汗をかいてしまう病気です。
わきの下から出る汗には運動や気温などで熱くなった体の熱を放出する際に汗をかく「温熱性発汗」と緊張や不安などで汗をかく「精神性発汗」が関係してきます。
また、わきの下から出る汗は「アポクリン汗腺」が関係しているので、臭いの元となりやすい汗になります。
多汗症とワキガ
腋の多汗症の人はワキガと連想しがちですが、
これは、間違いです。
多汗症とワキガは全く違うもので、多汗症は原因は解明されていませんが、ある一部分から原因不明の大量汗が出てしまう症状です。
ワキガはわきの下にある「アポクリン汗腺」から出てくる汗が原因でワキガ独特の臭いのもととなります。
腋窩多汗症の悩み
- 汗が目立つので薄い服が着れない
- わき汗パッドが手放せない
- 汗ジミがきになる
- 汗が目立つ色の服がきれない(好きな色の服が着れない)
- スーツなどの選択できない衣類のクリーニングが頻繁になり大変
治療方法
- 塩化アルミニウム外用方法・症状がある部分に塩化アルミニウムを塗布する。
- ボトックス注射・症状がでる部分に注射することによって、汗腺の活動を抑制し汗を抑える治療法。
- 外科手術・症状がある部分に塩化アルミニウムを塗布する。