睡眠時にも脱水症なる!知らなきゃ危険な脱水症のすべて

気温が高い時期になると気をつけなければならないのが脱水症です。

脱水症とは、体の中の水分(体液)が不足した状態のことを指します。

人の体は成人だと約60%、小児だと約70%、高齢者だと約50%が水分です。

この水分が一定量減少すると、体に様々な症状をもたらします。

脱水の症状

脱水の症状は段階的に重くなり、最悪の場合は命の危機に至ほど重いものです。

水分損失率 症状
2% 強い乾き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇3%を超えると、汗が出なくなる
4% 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労および嗜眠、感情鈍麻、吐き気、感情の不安定(精神不安定)無関心
6% 手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、脈拍・呼吸の上昇
8% 幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、疲労困憊、精神錯乱
10~12% 筋痙攣、ロンベルグ徴候、失神、舌の膨張、譫妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液および血液減少、腎機能不全
15~17% 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、眼瞼硬直
18% 皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20% 生命の危機、死亡

スポーツと栄養 – 日本体育協会 PDF107ページ 表7から出典

脱水症の原因

脱水症の原因となるのは、体の水分の減少がきっかけとなって起きます。

体の水分が減少するきっかけはスポーツなど体を動かして汗をかいたときや病気などによって嘔吐や下痢を引き起こしたときなどです。

気温が高いときには体を動かさなくても汗をかき、体の中の水分は減少するので、脱水症になりやすいです。

また、寝ているときも汗をかき水分は減少するので、寝ていても脱水症になることもあります。

スポーツと脱水症

人は運動をすると体が大量の熱を発生せさます。

この熱を体の外へ逃がさないと体温が上昇して、体の機能に支障をきたしてしまいます。

だから、汗をかいて体の中に熱がたまらないようにします。

スポーツをしていると大量に汗をかきますよね。

激しいスポーツだと1時間あたり1L~1.5Lの汗をかくこともできますが、この量の汗を長時間かくことはできません。

なぜかというと、人は体内の水分量が低下すると脱水症になり、熱を発散させることよりも汗の発散量を抑えることを優先するからです。

こうなると体にたまった熱を外へ出すことができずに熱中症を引き起こしてしまいます。

なので、大量に汗をかくスポーツをするときには、脱水症を予防することが必要になります。

脱水症の予防方法

脱水症の予防には水分補給が大事!と聞いたことはあると思います。

では、予めスポーツをする前に水などを大量に飲んでおけば良いのかというと、そうではありません。

水分を過剰に取ってしまうと血液濃度の低下や体温の低下によって、体に悪影響を与えてしまうこともあります。

聞いたこともあると思いますが水分を取りすぎると「水中毒」になることもあります。

では、正しい脱水症の予防は汗がでてから、のどが渇いたと思う前に水分を取るのが適切だと言われています。

のどが渇いたと思って水分を取るのは若干遅いです。

タイミングを考えるのは難しいですが、気付いたときにこまめに水分を取っていればベストと言うことですね。

水だけの水分補給は危ない

汗をかいたときの水分補給は水だけじゃダメ!と、聞いたことがあると思います。

なぜ、水だけじゃダメなのか?

汗は水分だけではなく、ナトリウム(塩分)も含まれています。

水だけを飲むと血中のナトリウム濃度を薄くしてしまい、体はナトリウム濃度を一定に保とうとするため、体は水を飲むことを拒み、体に入ってきた水分を尿として排出してしまいます。

尿として排出してしまうと水分を取った意味が無くなってしまうので、水分と一緒にナトリウムも取らなければなりません。

日本体育協会の調べによると0.1~0.2の食塩と糖質を含んだ飲料水を推薦しています。

また、激しい運動をするときは4~8%の糖質を含んだ飲料水を飲むことを推薦しています。

塩分だけではなく糖質が必要な理由は糖質が水分補給を促進する効果があることが挙げられていて、失われた水分を効率よく吸収できるからです。

市販されているスポーツ飲料の糖質は概ね4~6%なので、日本体育協会の推薦基準の飲料水となります。

脱水症の対処方法

暑い夏、激しいスポーツなど、気を付けていても、脱水症になることもあります。

そのときに、どんな対処をすれば早く回復できるのか対処法をまとめました。

  • 水分補給
  • 涼しい場所へ移動
  • 首筋、脇を冷やす
  • 病院へ行く

どのような状況で脱水症になったのかも対処の一つとして重要になります。

激しいスポーツなどをして大量の汗をかいて脱水症になったときは水分補給が一番効果的です。

また、脱水症が原因で熱中症が引き起こされたときは、涼しい場所へ移動して体にたまった熱を外で出して上げる必要があります。

そのとき、首筋や脇など太い血管が通っているところをアイスノンや氷で冷却すると効率的に体温を下げることができます。

様子を見て症状が良くならないときや、意識がもうろうとしているときは現場でできる最低限の対処法を行って、すぐに病院へ運ぶことが大切です。

脱水症や熱中症の判断のポイント

病気やケガと違って、脱水症か熱中症かを見極めるのは難しいと思います。

間違った対処をすれば症状が悪化することもあるので、素早く的確に判断しなければなりません。

環境省のホームページではチェック項目とともにどのような対処をすれば良いのかを図で表示してくれているのでこれに基づいて判断することで的確な処置をすることができます。

※出典 環境省「熱中症環境保健マニュアル2018 p24」